2000年7/13付けのメールで下記の質問を頂きました。
昨年OHを出していただいてまだ一緒に潜ったことはありませんが、5~60本の経験で、旅行会社勤務のTさんです。
「ところで、質問なんですが、スクールって4日間もどういったことをやるのですか?
たとえば中性浮力の練習とかカメラとか・・・カードってなんのカードですか?」
同様の疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いメールニュースで取り上げさせていただきます。
そもそも、講習はなぜ受けるのでしょうか?
国家資格でもなく、免許・許可資格でもありません。ただそれぞれの任意団体(カード発行会社)の発行する認定カードにすぎません。
昨今、この団体も雨後のたけのこのごとく増え、スポーツクラブやスーパーやその他の企業でも団体を設立するようになりました。
しかし、団体やインストの増加に見合う講習生の増加は見込めません。
そこで、各団体は知識の小出し化、カードランクの増設、スペシャリティーランクの増加、などに走りカード枚数を取らせる戦略に力を注いでいます。
これは特に日本に見られる現象です。
さらに言えば、企業化した指導団体は爆発的に増える見込みのない講習生より、既存のダイバーをインストにしたり、ショップに[○○スターショップ]や金・銀・銅・などのランクを与えることによって、年会費や上納金?を安定させる方式を取っているようにさえ思えます。
そうでなければ、何度も事故を起こして平気な顔で「○スターショップ」や「ゴールドサービス」などと冠を与えているのはおかしいわけです。
残念なことに私の所属している最も歴史の有る団体も同様になってきています。
さて、話が横にそれましたが、スクールの必要性と、1泊2日や2泊3日~5日という講習時間は受ける側と教える側の考え方によって大きく違ってきます。
ただ、ファッションでカードを求める人~本当に海で死なないように技術を身につけたい方、
教える側にも器材を売るために講習をやる~本当に海を好きになって安全に潜ってもらいたい…・等。いろいろです。
昔の講習がけしていいとは言えませんが、20~30年前は全国の潜水漁の漁師さんや一般人、が、(芸能人でさえ、・・…加山雄三さんが最古と記憶しています)
伊豆海洋公園で5.5日~1週間のNAUI講習を受けにきていました。
そのくらい海洋という大きな自然を相手にすることに真剣でした。
その頃と今ではどうちがうのでしょうか。
まず器材はそれほど変わってはいません。
BCと計器類の進化とオクトの普及ぐらいでしよう。
★受講生や指導員が力強くなった?・・・それは無いでしょう。
★自然の環境が優しくなった?・・・それはダイバーを取り巻く危険性はボートの増加などでさらに増して居るようにさえ思えます。
★指導法は?・・・確かに指導マニアルなどが整備され誰でもマニュアル通りに出来るようになりました。
★何が一番変わったのか?・・・それは指導員と団体、ショップのダイビングに対する捉え方でしょう。
それが前回のニュースのように、「いい仕事をするところよりいい商売をするところ」へ講習生を集めています。
○○スターの冠やタレントを使った広告、さらには「今ならこれが当たります、」的な大宣伝が安心感に繋がるのでしょうか?
いよいよ、ご質問の本題にはいりますが、私の行っている4日間の講習ですがこれはけして長いとは思っていません。
もちろん中性浮力の練習などは徹底的にマスターしますが、カメラの講習などはありません、プール講習とレクチャー、5本の海洋ダイビングで発行するのはNAUIのスクーバダイバーのカードです。しいて言えば次のツアーでボートやナイトを経験してアドバンスに移行できる下地を盛り込んでいることくらいです。
ただ、勘違いして欲しくないのですが、潜るのはあなた自身で、カードが潜る訳ではないのです。
いくら沢山カードを見せても、信頼出来るのはあなたの技量と経験本数です。
うちのショップに来られる初めての方に、私は必ずどのくらい潜っていますか?と質問をしますが、
「アドバンスとレスキューと水中スクーターSPを持ってマース」とカードを並べて15本の方、やまだ、150本チョットです」と答える方、と いろいろです。
確か、Tさん、は初めてのとき私に「もう、5~60本も!潜りました!」とおっしゃいましたね。それはTさんの育った環境と自身のダイビングの捉え方だと思います。
はたして、60本~100本が、「もう!」なのか「まだ!」なのかは判断難しいものがありますが、私はこの歳にして自分にまだまだだなー!と感じます。
私はどこのカードでもどんなカードでもいいと思います、大事なのはどんな指導員によってどれだけ真摯に海に導かれどのくらい大自然に謙虚でいられるか?ということだと思います。
ダイバーもインストラクターもカードを取ることで大自然に立ち向かえるなどと、錯覚してはいけないのです。
そういった意味ではこの4日間で最低限の技術、理論、等を身につけていただくのは大変なことです。
2~3名の受講生と私が真剣に取り組んでも4日はあっという間だと感じています。
大変長くなりましたが私のこんな考え方を基にスクールを行っています。蛇足ながら4日間でスクールをやっている所もけっこうあると思います! Tさんの会社のパッケージ商品では2日~3日の講習が主流なのでしょうか? もしそうだとしたら、「4日間も!」は、かなり、異質なものに感じたことでしょうね。
「もう3日も講習を受けた!から!」 大丈夫! なのか、「まだ!4日しか受けていないので・・…」なのかは、当人の判断基準でしかないのですよね。
2000/07/13