昨年9月に石垣島でダイバーが他のダイビングボートに轢かれて1名が亡くなり1名が重傷を負う事故が有り、このたび禁固1年6月の判決が言い渡されたそうです。
石垣島以外にも三宅島、神子元と大きな事故が有ったのは記憶に新しいところです。
近年ダイバーとボートの事故が多くなって来ています。そこで今回の「おもて技」はこの辺から。
私たちが日ごろ潜るポイントは航路に近かったり釣りやダイビングのボートが集まるところだったりするところが多いものですが、残念なことにダイビングマニュアルでは水中の危険についてはたっぷりやりますが水面の危険はあまり教えてくれません。
しかし考えてみれば、ガンガゼ、ミノカサゴ、ウツボ、サメ、の危険性なんていったって船のスクリュウの殺傷能力は比ではないですよね!
ボートの操船もしてガイドダイバーもしてきた経験からアンカーリングしないドリフトダイビング時の問題点について考えてみました。
★ボートは船長がしっかり前をみて走っているとは限らない。
船によっては操舵室から舳先が高く前方が良く見えないものが多く有りますし、船長が酔っ払って小学生の子供が操船しても船は走っています。
さらにオートパイロットにして釣りの仕掛けを作っていたり、船室で寝ている場合もあるのです。
(実際に寝ていてタンカーにぶつかった知り合いの漁師も居ます)前記事故のように自分のダイビングボート以外の危険性があります。
ダイバーからボートが見えても、ボートからは見えてないと思いなさい。
★ボートは風や潮流に影響をうけやすい。
ボートに拾ってもらう場合に風や潮や波の強さによって危険性がますのです。
船長によっては風上に付けてしまう事があります。
こんな時は船が大きいほど風で押されダイバーが船底に引き込まれそうになります。
私がガイドの時は必ず船長を怒鳴り飛ばし風下に回しますが、皆さんがその場面に出会ったらどうしますか?
普通は潜る前に風の強さを考え浮上と同時に風向きを見てボートに近づかないといけないのです。もっと厄介なのは潮と風が逆の場合です。
船が妙になついて寄って来る事や、船がどんどん逃げるなんて経験ありませんか?
その時々に的確な指示が出せるガイドと反応出来るダイバーが求められます。
★ダイバーはどこで浮き上がるか分からない。
私の場合は必ず船長と浮上地点の海況を見て浮上~ピックアップ地点を打ち合わせして入ります。
しかし普通の乗合ツアーの場合は中にはセーフティSTOP中に浮いてしまったり、吹き上がってしまったりでやむをえず全員で航路上に浮上してしまうなんてことも無いとはいえない訳です。
中にはあっちこっちにばらばらに浮上してしまうなんて言語道断のグループも稀に居ます。
もし皆さんがそんなダイビングを経験したらその時点でダイビングを打ち切りそのグループやガイドとは一切潜らないことをお勧めします。次には事故になる可能性大です。
(水中で迷子にされてしまったりした時も同じです、次は笑い話ではすみません。悲しいことに多くの事故は水中ではぐれる事により起きています、又水中で迷子にするガイドに限って上がってから反省も無くダイバーのせいにするのです)
★ダイバーがルールを知らない!
ガイドが浮上の指示を出しても自分だけセフティストップをしている人を見かけます。
本来ボートは全員が水面にあたまを出し人数を確認したら近づくようになっています。
人よりもより減圧しようなんてせこいやつは浮上した全員で知らない振りしてフィンで蹴飛ばしてやることが大事です。
特に中級のリゾートダイバーにありがちな勘違い。
セフティストップも状況により長々出来ないことが多いのです。が、この頃のコンピュータは5m~で3分間のストップが出るものがあります。
私のもそうですがこれは推奨ですから、ポイントや状況によって2分しか出来ないこともあることを理解してください。もちろん減圧指示が出ている場合は別ですが、一人だけ出ることも無いでしょう。
次にボートにエキジットする際にラダー(はしご)につかまらないうちにフィンを外してしまったりする人もたまにいます。
これはサイドロープに掴まって外す支持を出すガイドやボートがあるのも事実ですが、かなり危険です。
タンクを背負ってフィンが無いのはINSTでも泳げません。
落ち着いてはしごに掴まって脱ぐか履いたまま上がりましょう。
さて!今回のおもて技です。
漂流グッズ、シグナルフロートをお持ちですか?。
持っている方は使っていますか?
シグナルフロートは漂流した時の為!と考えがちですが、ボートに轢かれない為に使うのが正しい使い方なのです!と、杉山は言い切っています!そのうえ漂流時も使えるものなんです。
私のフロートは12Mぐらいのラインがつけてありますが、皆さんは単独で減圧しながら流れることは無いでしょうから5~6Mのラインを付けるべきでしょう。(長いと邪魔です!)
これから夏を迎え頭上をボートや、ジェットスキーがブンブンてことも考えられます。
そんな緊急時に備え、機会あるごとにセフティストップをしながら(スクリューに触れない水深で)フロートを上げる練習をするべきです。
ミスターマリンでは大きなツアーの最初に全員でフロートを上げてみるなんてこともやりますが、自分で練習するなら満潮の大瀬湾内の棚の上2~3Mで一緒に吹き上がらないようくれぐれも気を付けてやることです。
ボートが頻繁に通る場所や、複数のダイブボートが来ているポイントで! 実際に使う時は・・・
1.BCに取り付けたフロートを外す
2.ロープが体に絡まないよう垂らす
3.フロートを伸ばす
4.水深を確認(3~5M)
2000/05/18