2008.8 S.Astuko記
皆さん もうご存知のことと思いますが、この夏 杉山は体調を崩しひどい目にあった。
その日、蚊の泣くような声の電話を受けた時は「やばい!!」と思った。
その後も体調の悪さはしばらく続き、MM8月伊江島ツアーと重なるように、のほほんと伊江島に
遊びに行こうとしていた私に「何かあったら頼むな…」などど弱きな発言も。
「これは本気でまずいかも…。」
そうこうしているうちに、日にちは迫り一足先に9日 私達は伊江島へ向けて出発。
同行者はこれもまた筋金入りのMM元スタッフのN氏(懐かしくあの姿、思い出す方も多いことと思います。)とただのダイバー「ハニ君」。
しかし これもご存知のごとくあのでっかい台風8号の影響で8日午前、飛行機は欠航していた。
9日 飛行機は無事那覇に到着したものの伊江島に渡るフェリーは全便欠航…。
フェリー乗場でうろたえる3人。
そこへ、某ダイビングサービスの船を発見。交渉の末、フェリーの4倍の金額で島へ無理矢理渡る。が、しかし…忘れていたのだ…4日間もフェリーが止まっている島の実状を…
そう!牛乳もパンもなーんにもない。
突然宿泊することになったホテルで「夕食も朝食も外で食べるからいいですぅー。」とかっこつけてしまったこの3人、夕食はサービスで養ってもらい朝食はお菓子で済ませるはめに…!!
明けて10日も船は出せず、島は周辺を白波に囲まれている。
午後からは南のUポイントへスキンダイビング。
行きはドンブラコッコと波頭を乗り越え、帰りはまるでボディーサーフィン!
子供の頃に行った土用波の房総半島での海水浴を思い出す始末。
たしか この日だったと思う…、台風9号の発生を知ったのは…。
「明日(11日)どーせ杉山隊が来れば海も収まるでしょう…」と思っていた私は、この台風の発生を知り「あー杉山パワーも体調の悪さと共にとうとう衰えを見せたかー」とガックリ…。
こりゃー帰れなくなるかも…。
と、ここまではMMチーム到着前のなんとなく冴えない話。
そして11日、昼のフェリーでやって来ました杉山隊。
「どんなかなー。」と心配しつつ港で迎える。
すると湾岸前のフェリーのデッキで手を上げる細身の姿。
「カラ元気…?調子良さそう!」待つことしばし、出てきた出てきた
「アレ、結構元気そーじゃん。」なんて私の心の内を知ってか知らずか、
もうその日の予定を組み始める。
当然さっさと支度をしてアッという間に港へ…。もちろん全員潜る。
最初は心配していたし、もし体調悪くなったらあのガイド泣かせのMMチームの面々を私達がガイドするのだ…と思う時、打寄せるキンチョーの波。
ところがどっこい そんな心配どこ吹く風!
12日からは潜る…潜る…。早朝はやる、ナイトもやる、もちろんビーチ!全員が1日3~4本潜るわけです。 約1名、5本の人もいたっけね。(誰とは言わない)我ら3人組が朝食を食べる頃にはもーいない!そうこうしているうちに台風9号は何を思ったか、さては杉山パワーに押されたか、進路を東へ…。
あの蚊の泣くような声はなんだったんだぁー!
とろとろ潜る我々は「すごいね。」なんぞと言いながら、ただただのんびり飯を食らう。
「自分も仕事していた時はあーだったんだよね。」と懐かしむ。
まだよく取材していないので海の中で何を見たのか定かではないのだが、沖縄では殆ど目にしない
“クラカケチョウチョウウヲ”を見たのは確かである!余りにも珍しく、さすがに慌てた杉山が水中ノートに「クラカケ」とだけ書いて見せたら、あのオタッキー前橋代表♂でさえ
「なに?今更 クラカケエビス?」と思ったくらい想像を絶する珍しさ…!
その後すぐ我々のほほん3人組も同じポイントにエントリー。しかし影すらない。「やっぱり海ってやつは杉山びいきなんだ!体調悪いって本当なの??」とすねてみたくもなる。
うねっていて透明度の悪かった海もどんどん良くなり最終的にはベタベタのスコンと抜けた海になっていく。
これが噂の杉山パワーってわけです…ハイ!。
さて船2艘に別れ小回りのきく船をMMで使い、テキパキ、バシバシ潜っている間我々3人組はちょいと大きめの船でバラのお客さんと7~8人のグループと相乗り。
現地サービスの手伝いをしているS青年の友人達ということ。
そのグループが乗り込んでくると、それまでのんびりしていた中川の様子が変わった。
確かに少々要領を得ない若者達であった。 急にテキパキ…声が出る…指示が飛ぶ…中川。
「これも杉山パワーの影響かなー?でもこれってMMの遺伝子みたいなもんなのよね。20数年来のお付き合いともなると染み込んじゃってるものがあるんでしょうねぇー。」と冷静な私は考える。
さて、その連中をS青年、最初は南のポイントへ潜らせると言いだした。
「…そりゃーねーなー。」と中川。「ウツガマだったらいいでしょー。南よかー。」といつになく大きな声の私…おっといけない冷静に冷静に…。
そんな具合にポイント決めもMMスタイルに…。そしていよいよエントリー…してみたら、彼らの潜り下手くそではない。「なんだって南なんぞ、行きたかったんだぁー?」と思いつつ 一通 りコースを回りボートに戻る…。 すると例のグループはエキジットを始めている。
しばらくして残圧の少ない女の子をあげるよう頼まれた私は、再びボートの下へ…まだ やってる。
おまけにはしごにも掴まらずフィン脱いじゃって足をスカスカさせてる人もいる始末…。
しばらく待って見上げると、まーだ2人ほどぐずぐずしてる!私は女の子を水中に待たせ浮上。
水面 に顔を出すと「もたもたしないで早く上がってくんないかなー!」と言っている自分がいた。
なんだこりゃ!遺伝子は私の中にも存在した。自分自身に驚きながらもせめてもの救いは「上がってくんネェーかなー」になっていなかった(はず)こと…。
しかし、リゾートで遊んでいることが多くなり良く目にするのはエントリー、エキジットはもたもた、水中ガイドは猛スピード、というスタッフだ…それは逆だ!
エントリー、エキジットはテキパキと、水中に落ち着いたらゆっくりとガイドすべし… おっといけない また遺伝子が騒ぎだした。
最後に1つ印象的だったことがある。現地で1人の初心者の子が“ナンヨウハギ”を見たがっていた。
その場にいた他のダイバーは皆「あれは目立つもの…いくらだっているのにー。」と笑った。
その時居合わせた杉山が言った。「そーだよねー、きれいだもんねー見たいよねー。」
そういえば私が初心者だった頃、今思うと何処にでもいるような魚を見て、一緒に喜んでくれたのは
杉山だった。 スタッフのこの一言でダイビングは10倍は楽しくなる。 そんなわけで、杉山パワーはすっかり戻り我々も刺激されはりきってしまったわけですが、
MMのメンバーの皆さんは初心者のダイバーと感動を分け合う心 持っていますか?
あの頃の自分の気持ち忘れていませんか?
怒ってばかりいるわけじゃない、そんな遺伝子もMMにはあるんです…!
余談 ところで S青年のお友達は全員大学の潜水部員だったそーです。
あれが潜水部員なら、やっぱりMMチームはプロ集団に思われても仕方ない今日この頃なのです…。
私もいつかはしごの下でメンバーの誰かに怒鳴られないよーに気をつけます…ハイッ。
今回参加されたメンバーの皆さんお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
皆さんの潜りっぷりには脱帽しました!