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「残圧計が割れて飛んだ」という伝説

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(INST/DM向けに書いた記事ですから、一般ダイバーには分かりにくいところがあります)

国内・海外で活躍しているインストラクター/ダイブガイドが加入し運営している 「日本安全潜水教育協会」(JCUE)に私も所属していますが、このJCUEのINST/DMメーリングリストに「残圧計がぶっ飛ぶ」というような内容の話が以前投稿されて話題が盛り上がっていました。
投稿を見ていて、この会には現地ガイドやショップINST・古参実力者も多いので、昔の器材の仕組みなども解説がされたり、経験談などが細かく投稿されていて、「残圧計がぶっ飛んだ」「ガラスが割れる」「水中でゲージが割れてエアーで周りが見えなくなった」などという内容もあった。
確かに現役INSTの方々の経験談は貴重な意見でとても参考になりますが、「○○がぶっ飛んだ」という表現には多少自慢?と誇大な表現がありがちです。
確かにそのときの印象は、飛んだ!のでしょうが、実際にはそんなに吹き飛ぶわけも無く、
伝承するうちに「破裂した」 「ぶっ飛んだ」という伝説になり、伝え聞いた方々が受け売りしてしまうのは怖いです。
一般ダイバーや若いINSTに不安や誤解を持って欲しくないので、検証してみたいと思います。

「残圧計が外れ飛ぶ」といわれる理由と原因は以下のようなものによります。

①〔HPホース途中部分から千切れる。〕
②〔ホースのカシメ部分から切れる。〕
③〔ホース先端のナットから残圧計が外れる。〕
④〔残圧計ケースとホース取り付け部ネジが外れる。〕
⑤〔安全弁か前面ガラスもしくは樹脂レンズが外れる!〕

①②の原因はHPホースの傷みや劣化が原因ですが、現在は本来の高圧に適した細めでやや硬いホースと、中圧ホースに似た太さの従来からのホースが使われていますが、どちらもダイビング器材として使う場合にはかなり過酷な使い方がされています。

ほとんどの方が器材セットから終了までに、地面に「ポコッ」と置いたり落としたりしている上、ボートに積み込んだりタンクにセットしたまま置いたりして、ホースやゲージにかなりの負担をかけています。

圧力の掛かったホースを無理にまげてしまったりすることが一番傷みます、ですから、ボート上などでは必ず残圧チェックの後パージボタンで圧を抜いているのです。

特に高圧ホースは200kg以上の圧力を測る器材のわりには扱いが雑なのです。
一番ありがちなのは、エントリー時に船べりにゲージを引っ掛けてしまい、ホースがちぎれてしまうのでしょうか?

本来器材のホース類はメーカーでも3年程度で(使用状況によって)交換するよう指導しているにもかかわらず、交換しない人がほとんどです。
器材をオーバーホールに出せばホースの傷みもある程度分かりますが、それもしない方がいます。 さらに、ゲージは防護カバー(ゲージカバー)をつけていることで、乾燥しずらく中のホースにひびや劣化でボロボロになっているものも少なくないです。
ただしこのホースも表面は被服ゴムですからインナーチューブの傷み状態は分かりません、ホース表面のピンホールから細かい泡の漏れが出たり一部が膨れだすとインナーチューブの破損が分かるのです。
10~15年ほど前にあるメーカーの欠陥ホースが出回ってしまったときには、このインナーチューブの強度不足でタンクにセットしてバルブを開けたとたんにパンとホースがはねたシーンをあちこちで目撃したことがありました。
そのような不安を軽減する為にも、器材のオーバーホール時には必ずゲージのジョイント部分のステムとOリングの交換やホースの点検も行ってもらいましょう。

③〔ホース先端のナットから残圧計が外れる。〕
についてもメンテナンスに出すことで分かりますが、これもカバーが付いているゆえに普段は目に見えません、特に外側からではゲージのスィベル機構(くるくる回る)とナットの緩みは判別が付きません。

④〔残圧計ケースとホース取り付け部ネジが外れる。〕
は、ゲージを持ってみて重く感じるタイプの、真鍮ケースブルドン管式のゲージにはほとんどありませんが、ケースが樹脂のタイプ(持ってみて軽く感じるゲージ)スパイラル管タイプにおこるかもしれません。
樹脂のケースに螺子きりをしてそこにホースとの連結部分(真鍮オスオスねじ)をねじ込んでいます、その樹脂とねじの結合部にひびが入ったり割れたりする事は良く有ります。
レギ取り付けているときゲージをポトッと落としていたり、ボート上で踏まれたりで、この部分への負担は結構シビアです。
「残圧計が飛ぶ」という現象あるとすればこのタイプが多いかもしれません。

⑤〔安全弁か前面ガラスもしくは樹脂レンズが外れる!〕
これに関しては、現在ゲージは安全弁付のものと無しのものが使われていますがどちらもガラスが割れたり「ぶっ飛んだりは」しません。
新しい機種には安全弁無しのものもありますが(例えばスキューバプロ社のコンパクトゲージなど)弁の代わりに前面レンズ部分が持ち上がりエアーが漏れるようになっており、レンズが飛ぶことはありません。 その他の安全弁付はゲージ後面や側面などからエアーが吹き出るようになっています。

いずれの原因にしても、過剰に「ぶっ飛ぶ印象をダイバーやINSTが持つことはよくないと思いますし、何より水中で使う器材のメンテナンスや使用法にもっと気を使うべきです。

〔もし外れ飛んだら〕どうなるでしょう
ちなみに、「ぶっ飛んだ場合」どのくらい飛ぶのかを説明すると、今の器材はレギのHPポートも、HPホースの取り付け部の穴もピンホールになっていますから、飛ぶ力としてはホース内圧力で飛ぶに過ぎないのです。
※30年ほど前の器材の規格があいまいな時期の高圧ホースには、ピンホールではなく現在の中圧ホースと同じような内径のホースがあって「ぶっ飛んだ」こともあったのです。

例えばタンクを倒したりして、バルブが破損して飛んだらそれこそ大事故になりますが、
ゲージの場合はホース内圧力で飛ぶのは微々たる物です、私の経験では1度だけタンクにセットしたあとゲージケースが外れ飛んだのを見たことがありますがポンと軽い音とともに2~30センチでした。

実際、INSTの中にも勘違いをしている方が居て、HPホースが外れた場合は、高圧だからすごい勢いでホースが暴れまくり 危険だ!という意見も有りました。
しかし、本当はLPホースのほうが危険で陸上で2NDが外れたらすごい勢いでホースが暴れ顔など殴られる危険がありますし、水中だったら泡で周りが何も見えないほどの状態になります。
さらに、LP(中圧)の場合はあっという間に残圧が減りますので慌てますが、HP(高圧)ホースの方はほとんど暴れませんし、エアーも一気には無くなりはしません。
但し、いずれの場合も直ちに「緊急浮上」するこには間違いありません!!

以上のようなことから、必要以上の不安を持つことやめなくてはなりません。
INSTとしては、不安を与えるような講習も控えなくてはなりませんし、一昔前の講習のように、「破裂しますから残圧計は見ないように下に向けてからバルブを開けてください」というような指導ではなく、「残圧計を下に置いてゆっくりとバルブ開けて針がゆっくり上がるのを確認してください」「針が上がりきったらバルブを全開しましょう」「呼吸してみて針の振れ方を確認しましょう」というような指導になるのでしょう。

器材の繊細さを理解し、信頼できるサービスで定期的なメンテナンスを受けてもらうよう指導したいですね?
なにより、ガイド・インストラクターが模範的にきちっとメンテナンスされた安全性の高い器材を使うべきです。大事なお客さんの命を預かるプロとしての立場なのですから。

2009/03/01

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